個人か法人に関わりなく起業や事業の発展に必要な融資ですが、会社の規模や経営状況は融資に影響するのでしょうか?昔から融資は法人の方が有利と言われていますが本当にそうなのでしょうか?
この記事では個人と法人ならどちらが融資に有利なのか、法人融資と個人融資の気になる違いと融資のポイントについてご紹介します。
1.基本的に個人と法人に融資の違いはない
まず結論から言うと個人と法人で融資に大きな違いはありません。というのも融資の時に重視されるのは個人か法人かではないからです。ではなぜ融資は法人の方が有利と言われることがあるのでしょうか?
確かに、10年ほど前までは法人というだけで信用があり個人よりも融資を受けやすかったのは事実です。当時は株式会社を設立するには1000万円の資本金、有限会社なら300万円の資本金が必要だったので法人を設立しただけも資金力があることから信用にも繋がっていました。しかし今は資本金1円からでも株式会社が設立できるようになったので、法人だからといって融資を受けるのに有利というわけではありません。融資を受けるために1番重要な点はなんでしょうか?
金融機関は貸したお金を回収できるかどうかで判断するので、融資の審査で1番重視されるのは個人か法人かではなく、安定して返済が見込めるかという点です。返済のリスクがなければ個人でも法人でも金利などの差もなく融資を受けることができます。
ではどうやって返済能力を証明すればいいのでしょうか?
返済能力を証明する3つのポイント!
・自己資金の調達方法
自己資金は多いに越したことはありませんが、自己資金が多ければ融資を受けられるかと言うとそうでもありません。例えば友人や知人から一時的に借りてきたお金であれば自己資金としての信用度は高くなりません。
逆に自身で毎月コツコツ貯めたお金であれば信用度は高くなります。コツコツ貯めた証拠は通帳を見れば明らかです。いきなり大金が入金されていても信用にはつながりませんが、少しずつ貯めてきたことが認められれば融資を受けられる可能性が高くなります。
・事業経験
もしあなたが融資する側だとしたら、事業経験が少なく実績がない人と事業経験が豊富ですでに十分な実績のある人どちらに融資するでしょうか?明確な基準はありませんが、十分な事業経験があることも融資を受ける上で重要なポイントです。
・事業計画
ビジネスに必要な資金を調達するために最も重要なのが事業計画です。事業内容や企業戦略、収益の見込みなどを事業計画書にまとめます。融資を受けるにはしっかりとした事業計画は必須で、見通しが甘ければ審査に落ちる原因となるので、この事業計画書でいかに「この人に融資しても大丈夫」と思わせる内容を書けるかがカギになってきます。
事業計画書は基本的に文章で説明していきますが、場合によっては図を使って説明することもできます。売上・利益・資金繰りなど出来るだけ詳しい予測を立てて、融資を受けた場合どれどけの利益が出て、どのくらいのペースで返済できるのかを融資機関に説明しなければいけません。
もう一つ大事なことは誠実さです。
いくら事業計画がしっかりしていても不誠実な人には融資されません。融資機関との短い面談の中で誠実さを伝えることは簡単ではないかもしれませんが、十分な経験と実績があり、事業計画も良く考えられていて、受け答えにも誠実さが見える経営者であれば、個人・法人関係なく融資してもらえる可能性が高くなるでしょう。
2.法人が有利になるケースもある
個人と法人で融資に大きな違いはないことを説明しましたが、場合によっては法人が有利になることもあります。それは金融機関によって融資のプランが個人プランと法人プランに分かれていて、法人プランの方が有利な金利が設定されていることがあるからです。
これは、法人の方が融資に有利というわけではなく、他の金融機関との差別化を目的に個人と法人でプランを分けている場合が多いからです。プランだけを見ると法人の方が個人よりも有利に見えるかもしれませんが、その分審査が厳しく、設立からの年数や過去の財務状況、普段の経営状況や決算情報まで詳しくチェックされることになります。融資の基準は各金融機関によって異なりますので、事前の良い準備と日頃の経営努力が融資を受けるポイントになってきます。
3 .まとめ
個人と法人で融資に大きな違いはなく、大事なのはあくまでも信頼される企業かどうかです。「自己資金の調達方法」「事業経験」「事業計画」などで自分に返済能力があり信頼に値することを証明できれば、個人でも法人でも融資を受けることができます。日頃から健全な財務体制を構築し、経営努力を怠らないことが融資の最大のポイントです。