個人事業と法人では経費が違う?経費を計上するポイント!

個人事業と法人では経費が違う?経費を計上するポイント!

経費とは事業上必要な支出のことを指します。もちろんプライベートな支出は経費にはなりませんが、経費にできるものは多岐にわたります。だからこそ、必要以上に税金を払わないためにも何をどこまで計上していいのか把握しておくことは重要です。この記事では個人事業主と法人の経費の違いについてご説明します。

1. 個人事業より法人の方が経費として計上できる範囲が広い

個人事業より法人の方が経費として計上できる範囲が広い

経費とは、事業を行うのに必要不可欠な費用のことです。適用される範囲は広く、業務との関係性が認められればかなりの費用を経費として計上できます。経費として認められれば所得から差し引くことができるので、結果として節税になります。当然ですがなんでも経費として計上できるわけではなく、個人事業でも法人でもプライベートな費用は経費としては認められません。しかし、個人事業と法人では経費とプライベートな費用の判断基準が違うので比較してみましょう。

・社長の給料
個人事業と法人では社長の給料のもらい方が違います。個人事業主の場合は「給与」という考え方はなく、売上から必要経費を差し引いた金額が所得となり社長の給料になります。そのため経費に計上することはできませんが、法人なら社長の「給料」が経費として認められているので給料を売上から経費として控除できます。さらに、法人なら退職金も経費になるので節税になります。

・生命保険料
法人で生命保険に加入すれば全額経費として上限なく計上できますが、個人事業主が自分で加入した生命保険は直接事業とは関係しないので経費としては認められません。ただし、所得控除として保険料の一部を控除することはできます。

・家賃
個人事業主が自宅を事務所としても使っている場合、事務所として利用している面積の割合を元に家賃の一部を経費にできます。例えば、家全体の30%を事務所として利用した場合、家賃も30%が経費として計上できます。

法人なら会社名義で物件を借り、社宅として経営者に貸し出すことで家賃を経費として計上できるようになります。もし自宅を会社名義で購入すれば社宅にかかる借入金の利息や不動産所得税、固定資産税、修繕費までも経費として落とせます。

・日当
出張などで日当を支払う場合、個人事業主は経費としてみとめられませんが、法人なら旅費規程等を作成することで経費として計上できます。出張の際に発生する電車賃等の移動費、宿泊代なども経費として計上できますが、出張のついでに観光もするような場合は観光時の宿泊代と交通費は経費にはなならないので注意しましょう。

2.経費として計上する際の注意点

経費として計上する際の注意点

上記以外でも経費として計上できるものは多くあります。例えば、仕事の打ち合わせをカフェでコーヒーを飲みながらしたのであれば、そのコーヒー代は経費に計上できますし、事務用品や社用車のガソリンなど、消耗品にかかった費用も消耗品費として経費にできます。

消耗品費は基本的に価格が10万円以内か使用可能期間が1年未満であれば経費として計上できますが、価格が10万円以上するようなものは減価償却の対象となります。例えば、27万円のノートパソコンを購入した場合、9万円ずつ3年間に分けて経費にしてく方法を減価滅却と言います。あるいは、青色申告者であれば価格が30万円未満の資産まで経費にできます。ただし、消耗品を大量に買っても経費として計上できるのは実際に使用しているものだけなので、新品のまま使用しないようなものを大量に購入する際は注意しましょう。

社員旅行も福利厚生費として経費にできますが、いくつか注意するポイントがあります。旅行期間が4泊5日以内で参加人数が全体の50%以上でなければいけません。

取引先との打ち合わせにかかる交通費や出張旅費、高速道路料金やコインパーキング代なども旅費交通費として経費にできます。事業に直接関係する費用は経費として認められるので事業で使う自動車の自賠責保険や任意保険、さらには海外出張時に加入する傷害保険でさえ経費として計上できます。

接待を目的とした活動にかかる費用も接待交際費として経費にできます。接待交際費には接待目的の食事代や取引先への旅行費、ゴルフ代なども含まれていますが、法人の場合は接待交際費にできる金額に制限があり年間800万円までか、接待飲食費の50%までと上限が決まっています。個人事業の場合は法人と違い経費として認められる接待交際費に制限はありません。

電話代や請求書送付に必要な切手代、インターネットのプロバイダ料なども通信費として経費にできます。プライベートな費用と分けるために個人用と業務用とに分けて契約しておくと申告しやすくなります。

店舗や社用車、製造装置等の機械を修理する際にかかる費用は修繕費として経費で落とせます。ただし、修繕目的の費用だけなので機能の改善やアップグレードの費用は該当しません。

消費税や印紙税など一部の税金も経費として扱うことはできますが、住民税や所得税など事業と関係なく支払う必要のある税金は経費にすることはできません。税金以外にも、一部の寄付金や保険料も条件付きで経費にできるものがあるので、事前によく確認しておきましょう。

3 .まとめ

経費として計上できるかどうかは事業に関係する費用かプライベートな費用かで判断されますが、境界が曖昧なため経費で落とせる範囲をよく理解しておく必要があります。特に個人事業主は経費として計上できる範囲が狭いので注意しましょう。法人も接待交際費のように経費として計上できる金額が制限されてる場合もあります。いずれにしても経費として証明できるものが必要となりますので、領収書など必要書類と必要情報をきちんと管理しておきましょう。

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