法人には税金を納める義務があり、税金には法定納期限があります。節税は大事ですがどんな理由であれ期限内に納税しなければペナルティ発生してしまいます。法人が税金を滞納したらどうなるのでしょうか?この記事では、法人が税金を滞納してしまった時のペナルティと滞納後の流れについてご説明します。
1.法人が税金を滞納するとどうなる?
税金が期限内に支払われなかった場合はペナルティとして「延滞税」や「加算税」が課されてしまいます。
申告が間違っていて納税額が少なかったという場合でも納付期限をすぎてしまったら同様に「延滞税」や「加算税」を支払わなければいけないので注意が必要です。では「延滞税」や「加算税」とはどのような税金なのでしょうか?
延滞税とは
延滞税とは法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じた利息を追加で課税される税金です。
法定納期限の翌日から2カ月以内に完納した延滞税の税率は、原則として年利「7.3%」と「特定基準割合+1%」のいずれかの低い率が適用されます。特定基準割合とは各年の前々年10月から前年9月までの各月における民間金融機関の短期貸付利率に一定の率を加算して決定する方法のことです。
気をつけなければいけないのは、もし納期限の翌日から2カ月を過ぎて納税する場合は、延滞税の利率が年利「14.6%」と「特定基準割合+7.3%」のいずれか低い率が適用されます。利率が7.3%から一気に14.6%まで上がってしまうので注意しましょう。
延滞税の割合は変更されることがありますし、計算が複雑なので国税庁のホームページで最新情報と計算画面を確認しましょう。
加算税とは
加算税は「無申告加算税」「過少申告加算税」「不納付加算税」「重加算税」という4つの追加課税のことを言います。
・無申告加算税
「無申告加算税」は、申告義務があるのに法人税の申告書を提出しなかった場合に課される罰則税で、税率は原則50万円までは15パーセント、50万円を超える部分は20パーセントの割合を乗じて計算した金額となります。
税務調査の事前通知が来てから調査が終了する前に自主的に追加納付すれば税率は10%ですが、税務署の調査終了後告知があった場合は税率15%になります。税務署からの事前通知が来る前に気がついて修正申告した場合の税率は5%です。
・過少申告課税
「過少申告課税」は、納税計算に間違いがあり納税額が少なかった場合に追加課税されます。
税務調査の事前通知が来てから自主的に追加納付すれば税率は5%ですが、税務署の調査終了後告知があった場合は税率10%になります。税務署からの事前通知が来る前に気がついて修正申告した場合は加算税の対象外となります。
・不納付加算税
「不納付加算税」は源泉所得税の納付期限を過ぎた時に課される加算税です。
給料や報酬には源泉所得税が課されますが、一般的な会社員は毎月の給料から源泉徴収を行うことで会社が源泉徴収税を納付しています。
源泉所得税の納税期限は基本、給料を支払った月の翌月10日までとなっていますが、この期限内に納税されなければ不納付加算税が課されることになります。税率は10%ですが、税務署からの事前通知より前に申告・納付を行えば税率は5%に軽減されます。さらに、不納付加算税が5000円より少ない場合は納付が免除されます。
・重加算税
「重加算税」とは所得を隠ぺいする等の悪質な不正行為が認められた上に、無申告や過少申告、不納付も明らかにになった場合の罰則税です。
過少申告か不納付が明らかになれば税率は35%、無申告なら税率は40%とかなり重いペナルティになっています。気がついたらすぐに申告、追加納税しましょう。
2 .滞納してしまった時の対処方法と流れ
税務署からの通知に延滞税や加算税の納付期日が記載されていますので、期限内に現金振り込みかe-taxで納付しましょう。もし一括での納税が難しい場合は、条件を満たせば納税の猶予が認められることもあります。
税金を滞納してしまった後の流れはどうなるのでしょうか?税金が納付期限を過ぎても未納だったら税務署から督促状が送られてきます。督促状には納付期限や税目などが記載されており、もしすぐに修正申告を提出しなければ電話や書面での催促が何度かあります。
場合によっては税務署員が直接滞納者の会社を訪問するということもあります。何度も催促があったにもかかわらず納税に応じなければ最終的には財産が差し押さえとなります。差し押さえられた財産は公売にかけられたあと換価され、その金額で税金が支払われます。その際に余った金額は滞納者に支払われます。
3 .まとめ
法人は「法人税」「法人住民税」「法人事業税」「消費税」「固定資産税」「特別法人事業税」など納めなければいけない税金の種類が多いですが、納付期限を守って納税できるよう法人税額を考慮して資金繰りをしておきましょう。
もし税金を期限内に支払わず滞納してしまった場合は、申告ミスだったとしてもペナルティとして「延滞税」や「加算税」が課されてしまいます。
税務調査の事前通知を受けても実際に調査が行われる前であれば税率を軽減できますが、そもそも税務署からの事前通知が来る前に気がついて修正申告すれば加算税の対象外となることもあるので、もし申告内容に不安があるなら早い段階で改めて税理士など専門家に申告内容を見直してもらった方がいいでしょう。