2019年10月から消費税が10%になりますね。消費者が何かを購入したり有料サービスを利用した時に支払う義務があるのが消費税ですが、支払われた消費税は物やサービスを販売している事業者が一旦預かりまとめて国に納付しなければいけません。
これは個人事業でも法人でも同様ですが、個人事業と法人で消費税の扱いに違いがあることはご存知でしょうか?この記事では、納税義務の発生や免除についてご説明します。
1.個人事業も法人も消費税が免除される
消費税の納付期限は個人事業と法人で違います。個人事業主なら納付期限は3月31日までですが、振替納税を利用して納付日を4月下旬に遅らせることもできます。
法人の納付時期は事業年度の終了後2か月以内ですが、申告書の提出と納税時期は各法人によって異なります。なぜかというと、各会社が事業年度を自由に定めることができるからです。事業年度とは、会社が決めた会計期間のことで4月1日〜3月31日を事業年度にするのが一般的ですが、法律的にはいつでも自由に決めることができます。例えば事業年度終了日が3月31日なら納税時期は5月31日までとなります。
個人事業でも法人でも事業を行なっている以上消費税の納税義務がありますが、ある条件を満たすと消費税が免除されることはご存知でしょうか?
消費税が免除される免責事業者
消費税を納税する義務のある個人事業主や法人を課税事業者と言いますが、反対に消費税が免除される個人事業主や法人のことを免責事業者と呼びます。免責事業者とは正確には税務署に消費税の申告や納税をする義務が免除されている業者のことです。
個人事業の場合、確定申告時に課税期間の前々年の1月1日〜12月31日までの課税売上高が1,000万円を超えていれば課税事業者、1,000万円以下であれば免責事業者となります。課税期間の前々年で判断するので、新規に事業を始めたら開業から2年間は基準とする期間がないため免責事業者になります。
ただし、前年の1月1日〜6月30日までの6ヶ月間の課税売上高が1,000万円を超えると、開業から2年以内であったとしても課税事業者となるので注意しましょう。さらに、前年の1月1日〜6月30日の期間に給与支払額が1,000万円を超えた場合も課税事業者となります。1,000万円を超えるかどうかが重要なラインになることを覚えておきましょう。
法人の納税義務判定方法も個人事業と同じように、前々事業年度の消費税に掛かる売上高が1,000万円以下の場合免責事業者となり、前事業年度の開始日から6ヶ月間の課税売り上げ高が1,000万円以上か給与支払額が1,000万円以上の場合も免責事業者と判断されます。
2.最大限消費税を免除する方法!
個人事業でも法人でもそれぞれ条件を満たすことで消費税が免除されることがわかりましたが、さらに最大限消費税を免除する方法があります。
個人事業開始後、最初の2年間は課税売上高に関わりなく消費税が免除されますが3年目からは課税期間の前々年の課税売上高が1,000万円を超えていれば課税事業者となります。しかし、3年目に法人化(法人成り)すれば、さらに2年消費税が免除されます。
なぜ法人化すると免除期間が長くなるのでしょうか?
それは、個人事業から法人に消費税の基準期間が引き継がれないからです。
基準期間とは課税期間の前々年のことで、本来なら課税事業者になるところですが、基準期間が引き継がれないということは法人としての2年前の売り上げはありませんので、法人を新設してからの2年間は免責事業者になります。個人事業主として2年間さらに法人として2年間、合計4年間の消費税を免税することができるというわけです。
しかし、法人化するタイミングとはそれほど簡単には決められません。消費税だけを見れば確かに起業してから3年目がいいタイミングですが、法人税や所得税など他にも考慮するべき税金や要素は沢山あります。個人事業から法人化するベストなタイミングに絶対はありません。
事業が軌道に乗ってきたら早い段階で法人化する人もいれば、慎重に様子を見ながら安定してから法人化した方がいいという見方もあります。場合によっては最初から法人にした方が税務上有利になることもありますが、まずは消費税を含め各税金と個人事業と法人の違いをよく理解しておくことが大切です。
3 .まとめ
個人事業の場合、確定申告時に課税期間の前々年の1月1日〜12月31日までの課税売上高が1,000万円を超えていれば課税事業者、1,000万円以下であれば免責事業者となります。
確かにタイミングよく法人成りすれば計4年間消費税が免除されますが、法人化することで個人事業時よりも税金が安くなることは多くあります。2年待たずに法人成りをしたり初めから法人にする方がいい場合もあるので、慎重に決定しましょう。